Adobe($ADBE)はソフトウェア業界きっての策士
皆さんはこのアイコンに見覚えはありますでしょうか?
恐らくほどんどの方が見かけたことがあるかと思います。
この”PDF”という形式はAdobe(読み方は「アドビ」)が仕様策定したものとなります。
AdobeはこのPDFでマイクロソフトに並ぶ高収益企業へと進化しました。
そして最近ではPhotoshopやIllustratorといった、唯一無二のクリエイティブツールでデファクトスタンダードになりつつあります。また、このツールを起点としたマーケティングソリューションも大きく業績を伸ばしています。
今回はそんなAdobeについて好き放題書いてみようと思います。
知財戦略による”PDF”の成功
世の中で広く使われているPDFファイル。実はこれはAdobeによる知財戦略の賜物です。
私の勤める会社では定期的に知財・特許の講座があるのですが、その中でも頻繁に成功事例として取り上げられるのが、Adobe社のPDFによる大成についてです。
Adobeの実施した知財戦略ですが、まずPDFという素晴らしい仕様を策定・特許として権利化します。そして、それを無償で公開し、さらに、Adobe自身も「読む側(Adobe Reader)」を無料提供します。一方でPDFを「作る側(Adobe Acrobat)」は有償で提供しました。
仕様を無償公開したことによって、PDFは世の中に広く出回ります。そして、後戻りできない程広まった段階でAdobeはライセンスの無償使用の条件にざっくり言うと以下の条件を追加しました。
「PDFの仕様は勝手に拡張したりせず、仕様通りにソフトを作ること」
これによって、Adobeを上回る性能のPDF作成ソフトを作れるメーカを排除した他、PDFの最新仕様の公開はAdobeの思うがままなので、追随すら許さない状況にしました。
これがAdobeの知財戦略によるPDFの大成であり、今もこのPDFを軸に「Document Cloud」と呼ばれるドキュメントソリューションを提供しています。
PDFという素晴らしい仕様(技術)とその売り方(策略)が絶妙ですね。
クリエイティブツールのデファクトスタンダード
AdobeにはPDF以外にも武器があります。それが多様なクリエイティブツールです。私も実は会社で映像に関する仕事をしていますので、Adobeのツール(主にAfterEffectsとPremiere、Illustrator)にお世話になっています。
有名どころは、Photoshop、Illustrator、AfterEffects、Premiere、Acrobatといった所だと思いますが、他にも多数のツールがあり、ツールによってはシームレスに連携もできるようになっています。
正直大量にありすぎて自分が使い慣れているツールしかわかりませんが笑
特にPhotoshop(簡潔いうと画像の加工ツール)についてはかなり高度な加工ができるため、一時SNSで余りに綺麗な写真はAdobeのPhotoshopで加工されたものではないかとの疑惑から「どうせフォトショだろ」と飛び交っていたこともあるほどです。
デザイン・広告や映像の業界では、既にデファクトスタンダードであり、絶対に手放せないツールです。
最近このツールに大きな変化がありました。そうです。「パッケージ販売」から「サブスクリプション化」の変化です。
これまでは数年周期で新しいバージョンのAdobe製品がパッケージとしてリリースされており、それを高い値段払って買っていましたが、月々少しづつ支払いソフトはネットからダウンロードしてくるスタイルに変わりました。
我々利用者からすれば、常に新しいものが使えるし、Adobe製品のリリース時期に合わせて予算申請の必要もないし願ったり叶ったり。Adobeからすれば毎月コンスタントに売上が得られるうえ、顧客も逃げにくいため、Win-Winの関係が築けています。
実際売り上げ・利益ともに伸びており、サブスクリプションビジネスへの転換には成功しています。
これもツール自体の良さ(技術)とその売り方(策略)の成せる技ですね。
業績は「Adobe 業績」等で調べれば多数出てきますが、参考までに分かりやすかったブログへのリンクを貼っておきます。
実は大きな別の収益柱「Experience Cloud」
先ほど紹介したクリエイティブツールは広告制作する上では必ずと言って良いほど使われます。
Adobeは制作ツールだけに留まらず、作成した広告の入稿から効果の計測に至るマーケティングに至るまで、一連のワークフローを包括支援するソリューションとして「Experience Cloud」を提供しています。
最近このソリューションを強化すべく、マーケティングオートメーションの大手であるMarketoという企業を買収しています。
技術的な凄さは残念ながら不勉強でわかりませんが、これからの伸びが期待されるのはこの部分です。
最近NASDAQが不調Adobeの株価が下落していますが、これまで通り、技術と策略で大成することを祈り引き続きホールドしたいと考えています。