【2019年】目が離せない9つの注目技術トレンド・キーワード
いつの間にかもう11月ですね。
今年も色々な目新しい技術が出てきましたが、今日は私が「2019年に来るのでは!」と注目している技術トレンド・キーワードを紹介したいと思います。
- ①4Dプリンティング
- ②ブレイン・マシン・インタフェース(BMI:Brain-Machine Interface)
- ③ニューロモルフィックチップ
- ④パワードスーツ(エクソスケルトン)
- ⑤エッジコンピューティング
- ⑥ブロックチェーン
- ⑦コンピュータビジョン
- ⑧DIYバイオハック
- ⑨デジタルツイン
- さいごに
- 参考文献
①4Dプリンティング
ホイポイカプセルを皆さんはご存知でしょうか?
そうです、あのドラゴンボールでブルマが使っていた乗り物やら家やらが出てくるカプセルです。
それを実現するのに今最も近い技術がこの技術です。
我々に最も近い2Dプリンタは紙などの平面に対して文字や絵を印刷するものでした。
そして最近3Dプリンタが出てきて、立体構造物を樹脂や金属で作れるようになりました。
では4Dとは何か?4Dは3Dに“時間”の概念を追加したものです。
時間を持って完成するもの。
文字ではなかなか伝わらないので以下の動画を見てみて下さい。
プリンタで印刷したものを水につけると、立体物が組み上がっていきます。
これが水じゃなくて、空気で出来たら。そして出来上がるものが乗り物や家にできれば、もはやホイポイカプセルです。
オラ、ワクワクすっぞ!
②ブレイン・マシン・インタフェース(BMI:Brain-Machine Interface)
人間の脳波を検知し、その中から「意図」を汲み取って、機械を操作することです。
例えば以下の動画は脳波によってドローンをコントロールしています。
これがより高精度にできれば、「思うだけで」機械を操ることができます。
これぞ最高のユーザインタフェースですね。
③ニューロモルフィックチップ
脳の構造を模倣したICのことです。
ICの集積率は年々上がっています。Intelのサーバ用のCPU(Xeon)では44コア88スレッドとかです。
ただこの全てを効率的に使えてはいません。これを効率的に使うにはどうするか。
「脳の構造」がその有望なアイデアの1つです。
実は人間の脳はとんでもなく効率的なんです。
人の脳には1000億を超える神経細胞があり、それを今度は1000兆を超えるシナプスで接続され処理を行っていますが、その消費電力は20W(電球程度)です。
Intelのハイパースケーリング(超集積化)も限界に近づきつつあります。ハイパースケーリングの次はこれが来るかもしれません。
④パワードスーツ(エクソスケルトン)
皆さんはアイアンマンをご存じでしょうか?
あのヒーローが来ているモノこそ、パワードスーツです。日本ではパワードスーツと呼ばれますが、海外ではエクソスケルトンと呼ばれます。
Wikipediaでは”パワードスーツは、人体に装着される電動アクチュエーターや人工筋肉などの動力を用いた、外骨格型、あるいは衣服型の装置である。 ”となっています。
アイアンマンはもはや兵器ですが、より実用的な重いものを取り扱う作業者などの身体的負担を軽減目的で使われ始めています。
いつかはアイアンマンのように空も飛べる日が来るやもしれませんね。
⑤エッジコンピューティング
昨年度~今年度にかけて、「IoT」が流行りました。「IoT」はInternet of Thingsの略で、これまではインターネットに接続されていなかったありとあらゆるモノ(Things)をインターネット(Internet)に接続し、情報を収集・活用することでこれまでにはなかった分析やサービスを行うことを言います。
これまでインターネットに接続されたモノの情報は一旦クラウドに集約され、分散処理され、その結果をもとにモノにフィードバックをしたり、分析したりしていますが、モノが増えれば増えるほど、データ送信や処理に時間が掛かるようになります。
これを解決するための技術がエッジコンピューティングです。
モノに近くにエッジコンピュータを設置し、ある程度のことまでエッジコンピュータで分析・処理させることで、リアルタイムな処理をできるようにし、さらに、クラウドへの負荷を軽減させることができます。
⑥ブロックチェーン
最近仮想通貨がはやりましたが、ブロックチェーンは仮想通貨のやり取りに使われている技術です。
実はこの技術、仮想通貨以外にも応用できるものです。
ブロックチェーン技術は時に分散台帳技術とも呼ばれます。
従来の取引システムではシステムの中枢にサーバを置いて、それを起点にやり取りをしていましたが、このサーバが落ちたりハッキングされたりするとすべてのやり取りができなくなります。
一方でブロックチェーンでは、「やり取りの履歴 」データがシステムのネットワークに接続されているユーザの端末上にバラまかれ(分散され)、この端末間のデータ照合によってデータの整合性が保たれます。
なので、データを改ざんするなら、データを持っている端末の半分以上を同時に乗っ取り、データを改ざんする必要がありますので、端末数が多い場合、サーバを1台ハッキングするより困難となります。
また、ブロックチェーンでは「過去のやり取り」がブロックとして管理され、それが時系列に接続されることでブロックチェーンが形成されます。そのため、過去の取引管理の整合性が保ちやすいのです。
面白いのが、この過去の取引は暗号化された上で「公開されています」。したがって、不正な取引があると、すぐにバレてしまうので不正な取引を行うことができません。
オープンであるからこそ、セキュアな仕組みなのです。
金融市場をはじめとし、物流、食品、電力など、「過去のやり取り」の管理が重要となる分野で大いに活用される技術です。
【参考リンク】
⑦コンピュータビジョン
その名の通り、コンピュータで視覚(ビジョン)を実現するための技術です。
例えば以下はMicrosoft Azureのコンピュータビジョンのデモサイトですが、コンピュータに静止画・動画を入力(見せる)ことで、その中にいるモノや人などを、人間と同じように、時には人間以上の精度で認識させるAI関連技術の1つです。
防犯、自動運転、マーケティングなどあらゆる分野で使われはじめています。
⑧DIYバイオハック
DIYはDo It yourselfの略で、要は人や業者に頼まず「自分でやる」ことを指します。
主に日曜大工なんかで使われる用語ですが、この発想がバイオ分野にやってきました。
バイオ関連の実験はこれまで企業や大学などの研究機関で行われてきましたが、今アメリカではこういった機関に所属せず個人でバイオ関連の実験を行うのが流行っています。
中にはまだ実験段階のテクノロジーを自分の体を使って臨床実験するツワモノまで出てきています。
最近インターネットを通じていろんな薬剤や機材が手に入るようになりましたもんね。
20年前「IT」は個人でやるものではなく、企業や大学などの研究機関がやるものでしたが、今は敷居が下がり、我々の身近なものになりました。
それと同じように「バイオ」も身近な存在になるのかも知れません。
⑨デジタルツイン
現実世界の情報をセンサー等を使って読み取り、それをコンピュータの中で仮想的に「再現」する技術です。
昨今のIoT関連技術(センシング、リアルタイム処理等)が可能にした技術です。
これまでサッカーなどではゴールライン判定システム(ホークアイ、ゴールレフなど)が使われていましたが、デジタルツインはその先の技術です。
最近の例では今年のロシアワールドカップでFIFAが採用したElectronic Performance & Tracking System(EPTS)がデジタルツインの好例です。
EPTSでは、フィールド上にいる選手やボールの動きがすべてデータとして収集・分析され、次の戦略検討に利用されていました。
今後はスポーツ市場だけでなく、製造業などのエンタープライズ用途でも活用されることが期待されています。
さいごに
ここで紹介した技術は実用的なものばかりではなく、実験段階のものがありますが、いずれにせよ、私たちをワクワクさせてくれる技術ばかりです。
是非生きている間に使えれば、もっと言えば、自分でこんな製品を世に送り出すことができれば、メーカで働いている技術屋冥利に尽きます。
引き続き最新の技術トレンドをウォッチしていきたいと思います。
参考文献
IT関連のリサーチ・コンサルをやっているガートナーがこんなレポートを出しています。こちらも面白いので見てみて下さい。
https://www.gartner.co.jp/press/pdf/pr20180822-01.pdf